ダム湖にて。

2006年8月31日
昨日の夜、何気なく点けたテレビで
ダムに沈みゆく集落の写真を撮り続けた
おばあちゃんの特集をやっていた。
 
 
 
『私が生まれ育った村が
ダムの底に沈んでいくのはとても無念だ。
でも私が生きているうちにダムが完成したら是非見に行きたい。
桜がきれいだったあの場所を思い浮かべたい』
 
 
 
重機で倒されていく我が家や桜の木を見ながら、
おばあちゃんはそんなことを言っていた。
 
 
 
願いかなわず、おばあちゃんは
ダムの完成前に亡くなった。
 
 
 
ダムは今年完成し、水を貯める試験中だという。
今、かつての集落は水に沈みつつある。
 
 
 
しかしダムに沈み行く村の記憶は
おばあちゃんが撮り貯めた7万枚の写真に
残っているという。
 
 
 
 
 
  
*******
 
 
 
 
 
 
奇しくも今日は鳥取出張。
 
 
 
そう、鳥取の現場はダムなのだ。
 
 
 
おばあちゃんの居た集落とは全然違う場所なのだが、
ダムが完成し、水を貯める試験をやっている、という所は
テレビで見たダムとまったく同一なのである。
 
 
 
昨日のテレビを見た後の今日の現場は
景色は一緒なれど、
今までとは違う思いで仕事をするおいらが居た。
 
 
 
このダムでも
かつては集落があって
いろいろな人のいろいろな思い出があったのだろうか。
そして集落が無くなるのを無念に思う人もいたのだろう。
 
 
 
残念ながら既に更地になっていて
そこに水が溜まりつつあるので
かつての様子を伺い知ることは出来ない。
 
 
 
だけど
微力でもきちんと仕事をやり終えて
ダムが機能して地域に恩恵をもたらすようになれば
少しは無念を晴らすことが出来るのだろうか。
 
 
 
おいらはそんなことを思いつつ作業を進める。
 
 
 

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